か行
<休憩時間>
労働基準法は、使用者は、実労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時
間の休憩時間を、労働時間の途中に一斉に与えなければならないと定めている(第34条)。ここでいう休憩時間という
のは、労働者が使用者の指揮命令下におかれていない時間をいい、使用者は労働者に自由に利用させなければならない(休
憩時間に電話番などをさせてはならない)。
<休日振替>
定められた休日を事前に出勤日に変更し、その代わりに他の労働日を休日にすることを休日振替という。あらかじめ就業
規則や労働協約などで「休日は振替えることができる」旨を定めた上で、振替日を事前に労働者に通知しておくことが必
要。休日振替の場合、休日が出勤日に振り返られ出勤日が休日になることから割増賃金は支払われない。
ただ、休日振替によって1週に1日または4週に4日の法定休日が確保できない場合は休日出勤の割増賃金が支払われ、
その週の労働時間が1週間の法定労働時間である40時間(10人未満の商業、映画・演劇業、保険衛生業、娯楽業にい
ついては44時間)を超える場合は時間外労働の割増賃金が支払われる(労働基準法第37条)。
<計画年休制度>
労使協定を結べば、年次有給休暇のうち5日をこえる部分については計画的に時季を定めて取得させることができる制度
(労働基準法第39条)
さ行
<裁量労働制>
仕事の仕方や時間配分について使用者が細かく指示できない一定の業務に従事する労働者について、労働時間計算を実労
働時間ではなく、みなし時間によって行う制度。
<36協定>
労働基準法36条にもとづく時間外労働に関する労使間の協定。労働基準法は1日8時間、1週間40時間(10人未満
の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業については1週44時間)を超えて労働させてはならないと定めている
が、使用者は、労働組合(または労働者の過半数を代表する者)と書面による協定を結び労働基準監督署に届け出れば、
その制限をこえて労働時間を延長したり休日に労働させることができる。
協定には、時間外労働を必要とする具体的事由、業務の種類、労働者数、延長すべき時間または休日、有効期間などを詳
細に記載することになっている。
<時間外労働>
就業規則や労働協約で定められた所定労働時間を超えて労働することを時間外労働という。使用者が労働者に時間外労働
をさせるには、時間外労働に関する協定(36協定)を労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労
働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と締結し労働基準監督署
に届け出なければならない(労働基準法第36条)。時間外労働に対しては通常の賃金に加えて割増賃金を支払わなけれ
ばならない(労働基準法第37条)。
割増賃金の算定基礎額は、労働基準法では[基本給-(こども手当+住宅手当+通勤手当など)となっているが、企業によ
っては基本給に【こども手当+住宅手当など】を加えた基準内賃金を算定基礎額にする場合があるので、算定基礎額につ
いては就業規則や労働協約で取り決めておくことが必要。労働基準法上では、割増賃金の支払義務は法定労働時間を超え
た時間外労働や法定休日の休日労働に対してである。
<時間外割増率>
所定外労働や深夜労働で発生する賃金の割増率のこと。所定労働時間を超えて働かせた場合には通常の賃金の25%、深夜
の場合には25%、休日の場合には35%の割増賃金を支払わなければならないことが労働基準法で定められている。長時間
労働抑制の観点から、割増率の引上げが争点となっている。
<時季変更権>
年休は労働者の権利であり、労働者が取得申請すれば使用者は拒否できない。但し、請求された時季が事業の正常な運営
を妨げる場合は他の時季に有給休暇を与えることができる。「事業の正常な運営を妨げる場合」とは業務に支障をきたす
ことが客観的、具体的に明らかでなければならない。(例えば、特別な注文が入っていて休まれては注文に応じ切れない
とか、労働者全員が同時に有給休暇を請求してきたとかいう場合は業務に支障をきたす場合に該当すると考えられる)
<時短>
労働時間の短縮。休日・休暇を増やしたり、1日の労働時間を短くすること。
<総実労働時間>
所定内労働時間(事業所就業規則で定められた始業時刻と終業時刻との間の休憩時間を除いた実労働時間)と所定外労働
時間(早出、残業、休日出勤等により行った実労働時間)との合計に年休などの休暇時間を差し引いたもの。
た行
<代休>
休日に労働させた代わりに、後日、適当な労働日に休ませることを代休という。休日に労働させることから36協定の締
結と割増賃金(割増分のみ)の支払いが必要になる(労働基準法第36条、第37条)。しかし、代休そのものは労働義
務のある所定労働日の労働を免除することであり、債務者(労働者)の意思にかかわらず債権者(使用者)が一方的に命
じることができる(民法519条)。
なお、代休制度は法律上認められたものでなく、就業規則や労働協約で「代休を請求できる」旨の定めがないかぎり労働者
から代休を請求することはできない。
な行
<年次有給休暇>
労働基準法第39条で定められている有給休暇。勤続満6ヶ月に達した時点で、その間の全労働日の8割以上出勤した労
働者に対し、継続してあるいは分割して与える有給休暇。日数は、満6ヶ月の継続勤務者には10日、その後2年間は1
年につき1日、それ以降は1年につき2日加算し、最高は20日。
パート労働者の場合、勤続6ヶ月間に達した時点で、その間の全労働日の8割以上出勤した者に対して与えられる。付与
日数は、週または年間の所定労働日数に応じて定められている。
派遣労働者の場合も、勤続6ヶ月間に達した時点で、その間の全労働日の8割以上出勤した者に対して与えられ、使用者
(派遣元事業主)に請求する
は行
<フレックスタイム制>
週や月などの一定期間(清算期間)の所定労働時間を定め、各労働日の労働時間については、あらかじめ決められた時間帯の
中であれば始業、終業の時刻を労働者の自由にゆだねられている制度。
<変形労働時間制>
一定の期間を平均して1週間の労働時間が所定労働時間以下になることを条件に、特定の日や特定の週に、所定労働時間
を超えて労働させることができる制度で、(1)1ヶ月単位の変形労働時間制、(2)1年単位の変形労働時間制、
(3)1週間単位の非定型的労働時間制、(4)フレックスタイム制がある(労働基準法第32条)。
変形労働時間制が導入されると、一定の期間の平均労働時間が所定労働時間を超えない限りは時間外労働手当が支給され
ない。
<法定休日>
労働基準法によって定められている休日のことで、週1回、または4週間を通して4日の休日をいう。使用者は、週1回
以上、または4週間を通して4日以上の休日を与えなければならない(労働基準法第35条)。
わ行
<ワーク・ライフ・バランス>
1990年代初頭、不況期にあったアメリカで考え出された概念・取り組みで、一般的に「仕事と私生活をバランスよく両立
させること」をいう。これはCSR(企業の社会的責任)的な考え方ではなく、経営上の戦略として取り組まれた制度。すな
わち、従業員が仕事と私生活のバランスを保ち、より充実した社会生活を送れるよう支援するための制度の策定および運
用を積極的に行うことによって、生産性の向上はもちろん、優秀な人材の確保につながるため、経営的なメリットが大き
い。